こんにちは。
今回は、放課後児童クラブの現場で10年以上子育て支援を経験し、放課後児童支援員として現場のマネジメント業務をしていた私が、これから放課後児童クラブに転職しようかとお考えになっている皆様に、実際の現場がどのようになっているのかを忖度なしにお話をさせて頂きます。
尚、昔は「学童保育」と呼んでいましたが、現在私の地域では「放課後児童クラブ」が正式名称となっていますので、このサイトでは学童保育・学童クラブを「放課後児童クラブ」と表現させて頂きます。
おそらくこのページを見ている皆様の中には、既にある程度の転職先候補を持っていて、その中のひとつとして放課後児童クラブがあり、働く意思が50%以上固まっているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
転職って、心配ですよね。
特に我々シニア世代の転職は制限が多く、選択肢が少ないのが現状です。
仕事内容が自分に合うか、上司はどんな人なのか、職場いじめはないか、自分の体力が続くかなど、考えれば考えるほど不安でいっぱいになりますよね。
これは私の個人的な意見となりますが、結論から先に申し上げますとシニア世代に放課後児童クラブ勤務は『アリ』です。
ただ、どの職種にも有るように、放課後児童クラブの仕事・現場にも『クセ』はあります。
ここでは、皆さんが放課後児童クラブに応募する前に「知識として頭に入れておいた方が良いかも?」ということや、「ここは注意した方が良いかも?」というお話をさせて頂きます。
企業・法人のトップが権力を持ちすぎている
そのNPO法人・社会福祉法人の代表だったり、その企業の中の「子育て支援業務」を担当している部署のクラブ長であったり、現場を仕切っている担当者があまりにも権力を持ってしまっている場合、その現場に法人の代表やその部署のクラブ長の『個人的な好き嫌い』が入ってくる可能性が高いように感じます。
これは色々な法人を見てきた私の経験からくる話なのですが、もちろん組織ですから上下関係が有るのは当たり前ですし、指揮系統がはっきりしていないと組織運営はうまくいきません。しかし現場の長(おさ)があまりにも権力を持っていると(要するに、間違っていても誰も指摘出来ないということです)、その長の意見が極めて「独善的な傲慢な意見」となり得るため、たとえそれが国の運営指針と違っていても、たとえ法人や利用している子どもたち・保護者の不利益になることでも、それが通ってしまうということになります。
■実例その1 / 代表の意見が絶対で、たとえ間違っていても意見が言える環境ではない
私が短期間在籍していた法人の代表は、その地域の業界に居れば誰もが知っているほどのビッグネームでした。
その法人は複数のクラブを持っていて、そのひとつのクラブ(仮にAクラブとします)で問題がおきたんですね。すぐAクラブの職員が集まって、その解決策を話し合いました。その結果を法人の代表に報告したところ、「一部でそういう問題が出たのならば、今後全部のクラブで出る可能性がある。今回決まった解決策を全クラブで採用しよう」となったわけです。
ちょっと待って下さい。
その問題はAクラブだから出た問題であって、他のクラブは現状上手く回っているかも知れませんよね。
それを確かめず、Aクラブで出た解決策が正しいのかも検証せずに、全クラブにそのやり方を採用してしまうのはいかがなものでしょうか。
私はその解決策について、Aクラブでは良いのかも知れませんが、法人全体のマニュアルにすることに違和感がありました。
この件が正解か不正解かは別としまして問題が有るとするならば、この決断に対して疑問を持つ職員が居ない、「ちょっと待ってください、私のクラブは…」と言える職員が居ない、もしくは元々言える環境ではないのかも知れない、という部分だと思います。
※ Aクラブの問題とその解決策がどういうものなのか、何故そこに私が違和感をおぼえたのかにつきましては別の機会に書かせて頂きます。
■実例その2 / トップの好き嫌いで採用を判断している
某法人の施設長のお話です。
Aクラブに在籍していたB支援員が、母親の介護をしなければならなくなり、放課後児童クラブとしては一番忙しい夏休みを眼の前に迎えた6月末日で退職することになりました。その施設長はB支援員に「夏休みが終わってからにならない?」と説得しましたが、介護は待ったなしの状況でしたので、B支援員は退職となりました。
それから数年経った6月、夏休みの職員が足りないので現場の主任が仲の良かったB支援員に連絡をして「誰か仕事をしてくれる知り合いは居ませんか?」と聞いてみたところ、以前B支援員からの紹介で非常勤として仕事をした経験のあるC支援員が入ってくれるという話をもらったんですね。主任は喜んで施設長に話したところ、「CさんはBさんからの紹介だからもう採用したくない」と却下されてしまいました。
明らかにその施設長は、B支援員が忙しい時期に辞めたことを根に持っていて、その怒りの感情をぶつけています。
このような施設長はパワハラ体質の人が多いので、「そんなことに私は負けません!」という気の強い方以外は、気を付けたほうが良いと思います。
色々な研修で言われている通り、相手がクラブ長であれ施設長であれ、間違った言動に対しては指摘しなければならないわけですね。例えばクラブの現場で虐待が有ったとします。虐待をした職員がどれだけ自分より地位が上の人でも、通報の義務が有るんですね。放課後児童クラブはそういうことが正常に行われる環境でなければならないと、運営指針に書かれているわけです。
しかし、あまりにもクラブの長が権力を持ちすぎて職員の誰もが意見ひとつ出来ないという現場が有ることは、残念ながら事実です。
そのクラブの主任が主任として適切ではない
ここは最重要です。
施設長やクラブ長という役職は「子育て支援事業」のトップで、例えば会議や何か大きなことがあった時に顔を合わせるだけで、法人によってはほとんど会う機会がないかも知れません。それとは違い、主任というのはそのクラブのトップですから毎日会って実際に一緒に仕事をしていく人です。
その主任が主任として適切な人でなかったら、毎日の仕事が憂鬱になるどころか、重大な事故があったときに責任を押し付けられたり、本来主任が行うべき仕事が我々に回ってきて過重労働をさせられたり、とにかく様々な部分に弊害が生じることになります。
世の中には、本当にびっくりするような主任が居るんですよ。
以下に、少しだけ実例を記載します。
■子育て支援の運営というものを全く理解していない
その放課後児童クラブは、若い層の職員で主に構成されていました。
常勤職員が男女2名ずつの4名で、男性の主任も30歳前後と若く、非常勤もほとんど若い人たちでした。
とにかく、子どもたちに対してお説教が多いんです。バイトが子どもたちを大きな声で、汚い言葉で怒鳴っていても、主任も他の常勤職員も注意しません。
そのクラブは、夕方になると子どもたちを含めて全員で掃除をするようになっていて、掃除が終わると「反省会」というお説教タイムが始まります。それも、威圧的に行われます。
「そんなことが良いとお前たちは思っているのか! えぇ?!」
もしも顔が怖くてドスがきいた声の主任だったら、子どもたちは泣いてしまいますよね。
その「反省会」は、毎日行われます。
子どもたちにとっては、地獄の時間ですよね。
片付けが1度でも出来ないと、すぐにその遊具を一定の期間しまって遊ばせません。ですから遊び道具が極端に少なく、つまらないので子どもたちは「お気に入りの支援員」を見つけ、その支援員とじゃれるのが習慣となっています(例えば支援員を立たせて後ろから登ってみたり、両手を繋いでグルッと回転してみたり、ほとんどNG行為ですが、誰も注意しません)。
出した遊具が片付けられないと「1週間このおもちゃは出しません!」といってすぐ子どもたちに責任を取らせるクラブも少なくないですが、何故片付けが出来なかったのか、そもそも片付けが出来る環境作りがされているのか、自分たちの運営に問題がないのかなど、一度頭を使って考えてみるということが当然必要になるんですが、職員が大人だという理由だけで、何でも子どもたちが悪いと決めつけるのは傲慢ではないでしょうか。
主任だけでなく他の支援員も、自分の意思で放課後児童クラブを選んだならば、日々勉強をし、子育て支援とはどのように行われていくべきかを良く考えて支援して頂きたいですよね。感情的に怒っても子どもたちは言うことを聞きませんし、そんな支援員では子どもたちとのコミュニケーションは取れませんから。
特に現場の長である「主任」においては、十分に自覚して頂きたいところです。
■主任が子どもたちを見ていない
前述の主任と同一人物です。
土曜日は極端に利用(登所)人数が減りますから、支援員も少人数で見守ります。
そのクラブの単位によりますけれど、だいたい多くて20名程度、少なければ数名の利用者なので、2名程度の支援員がシフトに組まれるわけですが、子どもたちが自由時間で好き好きに遊んでいる時に、その主任は何を考えたのか座って漫画を読み始めます。
もう1人の支援員がその日の子どもたち全員を見守り、主任は壁に寄りかかって集中して漫画を読んでいるわけです。
この行為の、どの部分が間違っているかに関しては説明要らないですよね(笑)
支援員の仕事は、保護者の皆さんの大切な子どもたちを安心・安全にお預かりするというのが基本です。
その子どもたちには目もくれず仕事中に漫画を真剣に読んでいる支援員、ましてその人は主任なのですから余計に呆れてしまいます。
保護者の皆さんは「嘘ですよね?」と言いたくなりますよね。
で、その主任は漫画1冊読み終えるまで座りっぱなしでした。恐ろしいお話ですが、それが現実です。
私の経験の範囲でお話をさせて頂きますと、主任として素晴らしいと思える人は、実はあまり多くありません。
逆に、素晴らしい支援が出来る非常勤職員の方が、圧倒的に多いです。
それはその法人・企業の主任に対する考え方の違いにも左右しますので、その辺りのお話は別の回にさせて頂きます。
意地悪な職員が居る
いわゆる「お局さん」と言われるような人ですが、これは受け取り方によって間違った解釈をされそうなので「意地悪な職員」と書かせて頂きました。
昭和の時代はよく「この間入社したのに、もう辞めたの?辛抱出来ない人ねぇ」とか、「会社に入ったらまず3ヶ月頑張れ。そして3年は我慢しなさい」というような話を耳にしました。これに関して賛成の方は私のページは読まない方が良いです。別のページをご覧ください。
私は大反対です。
仕事なんて、その人が「あ、ここ自分に合っているかも?」と思えるまで、何度でも転職すればいいんですよ。
会社に気を使って「繁忙期だから、今辞めたら迷惑だよなぁ」なんて、全く考えなくて良いと思います。「辞めたい」と思った背景には何らかの理由が有るのですから、早く辞めて別の仕事を探した方が良いですよ。特にシニア世代は、1日も無駄に出来ませんもの。
自分の人生は自分で作り上げるもの。我々がその会社の状況を考えて配慮したところで、その会社が、その会社の誰かがあなたの人生を幸せにしてくれることなんてないんです。例外も有るでしょうけれど、ほとんどの会社はないですね。
私は、我慢をしたことによってメンタルが殺られてしまう方がずっと怖いんですよ。
現場に意地悪な職員が居たとして、それが主任だった場合は最悪ですが、例えば非常勤職員が意地悪だったにせよ、それを注意せずに野放しにしているのは主任なわけですから、いずれにしても最悪な職場ということに代わりありません。
意地悪な職員が1人でも居て、主任としての能力が不足している職場なんて、1分1秒たりとも居る価値はないと思います。
※ もちろん自分の人生ですから、自分が「今は辞めるべきタイミングではない」と思ったらそうすべきです。一般論として、人間が1度「嫌だ」と思ったら今すぐにでも辞めたいって思うじゃないですか。そんな気持ちで仕事をしていても、その法人にも自分にもプラスになりませんよね。その上、メンタルまで殺られてしまったら一生後悔することになります。自分の心に負担をかけるような、無駄な我慢はすべきではないと、そういうお話です。
大多数が若い職員
「若い人たちがどうこう」というお話ではありませんので、ご了承ください。
我々シニア世代、もしくはもう少し若くて40代・50代の皆さんにとって、若い職員で固めている法人・企業は居心地が悪い場合が多いです。「私は若い人がたくさん居る職場が好き!」という人は別です。その人によりますけれども、一般論として。
私は、放課後児童クラブには色々な世代の支援員が居るのが理想だと思っています。そのクラブを1家族として捉えた場合、様々な世代からのモノの見方がクラブ内に有るということは、多様性という意味で良いと思うのです。ただ異世代が居れば良いということではなく、そこを活かして子育て支援の色々な部分に結びつけていくと。
そこで問題になるのは「老害」でございます(^^;
ただここで「老害」という問題を取り上げますと非常にややこしいお話になってしまうので、ここでは「老害でないシニア」ということでお話を進めさせて頂きたいと思います。
何を言いたいかといいますと、若い層で固める法人・企業というのは「そういう方針である」ということなんですね。その方針になった理由としては、例えば若い層で固めた方が扱いやすいとか、年寄は体力がなくて休みがちだから使えないとか、年寄りは頭が固くて新しい知識が入っていかないとか、その法人・企業によって考え方は様々だと思います。
その考え方が正しいとか間違っているとかは別としまして、若い層を集めている法人・企業に我々シニア世代が入ったとしても、何も良いことがないだろうことは簡単に想像出来ますよね。その法人・企業にはシニア世代なんて眼中にないわけですから、良い待遇なんてありっこないですし、例えば若い職員とシニア職員の意見が対立した場合、法人側がどちらに寄り添うかが見て取れるじゃないですか。
男女の比率に関しても同様です。
男性職員をほとんど取らない法人・企業に万が一男性シニア職員が就職出来ても、それは長期休みのような繁忙期が絡んでいたか、その時期に他の職員が応募してこないために困っていたか、何か特別な理由が有るんですよ。
私が少し前まで居た法人は、他の法人よりも男性職員の数が多めでした。他の法人の2倍以上でしたね。それは何故かといいますと、女性が定着しない理由が有るからなんですよ。女性職員が気持ちよく働けるとか、働きやすいとか、そういう環境ならばそうならないはずなんですね。だって、放課後児童クラブは女性が中心の職場なんですから(こういう意識を常に持っていることは、男性にとって重要ですよ~)。
最後に
ここまで読んで頂きまして、有難うございました。
今回は、シニア世代が放課後児童クラブに転職するときに「こういう放課後児童クラブは気を付けた方が良いかも?」というお話をさせて頂きました。
基本的なことを申し上げますと、最終的には自分の判断が正しいのだと思います。自分が働く場所なので、自分が「ここならば良いかも」と思える場所を選択するのが一番です。
シニア世代の時間は限られています。
その限られた時間をいかに有効的に使うか、有意義な時間にするかは、自分にかかっています。
このページが、少しでも皆さんの転職のお力になれば幸いでございます。